プライベートでのけんかも処分される?

仕事帰りの居酒屋で、同僚が隣席の客と口論になり、殴り合いのけんかになってしまいました。もし会社にこのことが知られれば処分されるのでしょうか?
労働基準法では、10人以上を雇用する使用者に就業規則を作成し、 所管の労働基準監督署に届け出るよう義務づけています。 就業規則には労働条件や職場規律を一律にして経営を効率化したり、 社員の権利を保護したりする狙いがあり、社員は採用時の雇用契約 のなかで「就業規則を順守する」と宣誓させられるのが一般的です。 就業規則には始業および終業の時刻、賃金の計算や支払いの方法など の労働条件のほかに、社員が守らなければならない規律を明記する ケースが多々ありますが、その一つとして「会社の名誉を傷つけたり、 信用を損なう行為をしてはならない」といった規定を置く場合が 多いのです。
罪を犯して会社の社会的信用を大きく損ねたり、仕事上で知り得た
秘密を社外にもらして会社に損害を与えた場合には、労働時間外で
あっても就業規則違反で制裁の対象になる可能性が高いと云えます。
過去の判例では、米軍基地拡張反対の示威行動で逮捕、起訴された
社員が、解雇を不服として会社を訴えた訴訟で最高裁は「大規模な
会社の一社員の行為が会社の体面を著しく汚したとは認められない」
として解雇処分が無効となっています。
プライベートでの非違行為を理由に会社が懲戒処分を下すには、
会社の社会的評価への悪影響が重大であると客観的に認められ
なければならない様です。
刑事上の犯罪として立件されるほど重大ではない単なるけんかが、
企業秩序を乱した行為とは判断されず、会社の制裁は認められない
可能性が高いでしょう。

(12年2月25日)