コンテンツへスキップ
- 昨年、コンプライアンス上問題ある上司の行為を社内窓口に通報したところ、報復として不当な異動を受けたとその無効を争っていた裁判で会社が敗訴したとの事件がありましたが、異動・配転は会社の自由ではないのですか?
- 人事権は広く会社に認められていますが、今回の裁判例(東京高裁)の他、 どのような人事異動・配置転換が不当・違法であると判断されるのでしょうか。 過去の裁判例では、 (1)業務上の必要性が存在しない場合、 (2)仮に必要性が存在したとしても他の不当な動機・目的による場合、 (3)労働者に対して通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合等、 特段の事情の存する場合においては、人事権の濫用に該当するとしています。 なお、(2)でいう「不当な動機・目的」とは、社員を退職に追い込む目的, 上司による嫌がらせ目的等が考えられます。 この他、業務の系統を異にする職種への異動については、 業務上の特段の必要性、当該従業員を異動させるべき特段の合理性があり、 これらの点につき説明が十分になされた場合か、本人が特に同意した場合 を除いては、会社は一方的に異動を命ずることはできないとした裁判例も あります。 個々の裁判例は背景にそれぞれ特殊な事情があり、他の同様のケースにも すべて当てはまるわけではありませんが、会社としては、人事異動・配置転換 が不当・違法なものと判断されないよう注意する必要があるでしょう。 何か疑問等ございましたら、弊社にご相談下さい。
(2012年12月4日)