国民年金の保険料未払いが大きな社会問題となっています。それは、この問題が結局は年金空洞化をもたらすからです。では、年金空洞化がもたらす問題とはどのようなことが考えられるのでしょうか。以下が挙げられるでしょう。
先ず、1点目は、”未納者の老後の生活をどう保障するのか”ということです。年金の空洞化は、未納者・未加入者の老後生活に、深刻な生活不安をもたらすことが予想されます。年老いて働くことができなくなったとき、公的年金がなければ低所得となります。他に私的財産も無ければ生活保護を受けざるを得なくなることもあり得ます。然し、そうなると今度は生活保護制度を維持することが困難になり、当該制度の改革の必要性が生じることになります。
2点目は、賦課方式を採用している年金財政に大きな影響を与えることです。空洞化が保険料の急上昇につながり、それが年金財政破綻に直結するほど単純ではありませんが、若い世代に未納者・未加入者が急増すれば、世代間移転に依存する年金財政が不安定になることは確かです。また、徴収されない部分は、実際に保険料を支払っている被保険者が負担することになります。つまり、事業所で保険料を納付することになっているサラリーマンに負担が集中することになるのです。
3点目は、年金空洞化は地域経済へも大きなインパクトを与えることです。北陸・山陰・四国の一部では、県民所得に対する公的年金受給額の比率がすでに 10%を超えており、2030年ごろには20%を超えるところが多くなると見られています。これが 年金空洞化が進むことで、年金収入のない世帯が増加して生活保護を受けるようになると、地域経済・地方財政に大打撃を与えることになると考えられるのです。このように”年金空洞化”は様々の方面に大きな影響を与えます。それを防ぐためにも”保険料未払い問題”は早急に解決する必要がありますね。