高年齢者雇用安定法の施行

2006年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法は、従業員に65歳まで
就労機会を提供(雇用確保措置を導入)することを企業に義務付ける法律です。  

定年が65歳未満の企業には、
①定年廃止、
②定年年齢の65歳への引上げ、
③定年を迎えた従業員の継続雇用
の3つの選択肢から一つを選ぶことが求められています。

定年廃止や定年延長は全従業員が対象となり、賃金や労働時間
などの処遇を下げにくいという問題がありますが、継続雇用は
労使協定などで対象者を絞り込むことができます。

中でも再雇用制度は、雇用契約を結び直すため処遇を柔軟に
変更することができます。

そのため、労働政策研究・研修機構の調査によると、
2006年4月以降、過半数以上の企業で再雇用の措置を導入
しているとのことです。

この調査は、2006年10月1日時点における制度の整備状況を
各企業に聞いたものです。
従業員300人以上の民間企業5,000社に質問票を送付し、
1,105社から回答を得たそうです。

調査結果では、定年後の再雇用制度を導入している企業が
91.3%に上りました。
勤務延長制度や定年の引上げなどを導入した企業と合わせると、
98.4%の企業が、何らかの措置を講じていました。

継続雇用する対象者については、72.2%が「健康や働く意欲、
勤務態度などで基準に適合する者」と条件付きとしており、
「希望者全員」としている企業は24.6%にとどまりました。

高年齢社員の処遇で困る点では、
①担当する仕事の確保が難しい」(39.6%)、
②管理職経験者の扱いが難しい」(38.9%)、
③継続雇用後の処遇の決定が難しい」(24.5%)、
④高齢社員を活用するノウハウがない」(19.1%)
などが上位を占めています。

同機構は、「制度はできあがったが、今後は再雇用した人
の活用方法や、現役社員との関係、勤務形態を整備していく
必要がある」と指摘しています。 

今年度も再雇用制度の活用は拡大する見通しであり、
団塊世代の大量定年や少子化で労働力不足が懸念される中、
企業は労働力確保の様々な対策のうち、再雇用制度を拡充する動き
を更に強くして行く模様です。

これは、再雇用後の賃金が定年時の半分程度というケースも多く、
「企業側の人件費を抑えつつ労働力を確保したい」というニーズに適合する
からです。

また、従業員側にとっても、「この制度は、年金と合わせればそれなりの
収入を維持することができる」というメリットもあります。
それだけに、今後も更に活発に、本制度は利用されていくものと思われます。