日本の労働力

日本の労働力人口(15歳以上の就業者と求職者)は、2030年には、
現在の6,657万人から1,070万人も減ってしまうそうです。
世界の先頭を走っている少子高齢化の影響です。この環境激変に対して
有効な対策が打てなければ、日本の国力は弱体化する一方でしょう。

日本の制度には「働ける人まで働けなくしている」という側面があります。
例えば、厚生年金では60歳以降も正社員などとして働くと賃金に応じて年金が
減ってしまいます。また、企業の採用は新卒の若者が中心で、女性パートタイマー
の多くは夫の被扶養者にとどまるため、年収130万円未満に仕事を減らすなど
しています。

新聞によれば、人口増の時代から残っているこのような日本的な慣習を
見直せば約1,000万人分の人材力を引き出せるかもしれないと
報道しています。

【高齢者1割で300万人】…65歳以上の高齢者は現在約2,700万人で、
今後も増え続けます。現在65歳以上で働いている人は約500万人だけです。
2,700万人のうち、あと1割が仕事に就いたとすると、約300万人近い働き手が
労働力不足を埋めてくれます。

【女性の潜在労働力350万人】…日本は女性の力を十分に活かしきれて
いません。出産を機に女性の7割が仕事を辞めてしまいます。これは世界でも
特有なことです。
在宅勤務や短時間勤務の充実で柔軟な働き方を用意し、引き留めることが
第一歩となります。家事や子育てで仕事をあきらめている女性は350万人
もいるとみられています。柔軟な働き方がこのような女性を戦力化できれば、
女性の潜在労働力が現実化することになります。

【ニートは60万人】…18~34歳の働き盛りの人口は現在約2,800万人。
これが2030年には約1,900万人と3割以上減ります。仕事や学校にも
行かず職業訓練も受けていないニートは約62万人、安定的な定職に
就かない若者のフリーターは約187万人だそうです。
そこで、ニートは定職に就けるよう、フリーターは
正社員など失業の心配なく働けるよう、再チャレンジの後押し策を
もう一度盛り上げれば、若者の労働力が強化されることになります。

【先端技術磨けば百人力】…人間に代わる労働力として期待されている
ロボット。
すでに産業分野で日本は世界一のロボット大国です。
日本の産業用ロボット稼動台数は約37万台で北米やドイツを大きく
上回ります。
介護や医療ロボットに商機を見出す会社も増えています。

【外国人向け制度づくり】…高齢化で需要が高まる介護分野。
このたび、インドネシアからの看護師・介護士を受け入れる計画が
実現するようです。
経済協力開発機構(OECD)は日本が現在と同じ生産年齢人口を保つには
年間約50万人の外国人の受け入れが必要であると試算しています。
然し、現在実際に日本で長期就業が認められた外国人は2005年
で約2万人しかいません。そこで、今後日本は、優秀な外国人が
働けるよう宗教面を含めてインフラを一層整えて、世界の人材争奪競争に
備える必要があるという訳です。