「国民年金任意加入」の損得

会社人生が終わりつつある団塊世代の男性の中には、老後の資産づくり
に躍起になっている人がいます。
専業主婦だった妻も人ごとではありません。

このような老後資金作りに関心がある人たちの間で、
「自分のお金を少しでも有利に運用したい」という思いから、
国民年金の「任意加入」が注目されています。
ただ、公的年金と他の金融商品とでは仕組みが異なりますので、
注意が必要になります。

仮に、年上の夫が定年退職し、専業主婦だった妻のA子さん(57歳)が、
国民年金の「第3号被保険者」という立場から外れ、60歳までのあと3年
保険料を払って国民年金に加入しなければならなくなったとします。
A子さんの場合、結婚までの6年間、国民年金に任意加入し、35歳で
結婚、57歳まで「第3号」として加入を続けていたとします。
57歳~60歳の3年とかつての国民年金の任意加入時代の6年分と
両方合わせて保険料を払う期間は9年になります。

「第3号」期間が22年で、60歳になった時点での合計加入期間は31年、
65歳からの老齢基礎年金(加算を含まず)は年約61万円になります。

「もうちょっと増やせないか」と考える場合は、65歳になるまで国民年金に
任意加入できる制度があります。任意加入分だけ年金も増えますが、
注意すべき点があります。

例えば60歳以降で5年任意加入(5年分の保険料約84万円)すると、
65歳からの年金は約71万円(保険料納付期間1年当り2万円の
年金額増加)になり、73歳を少し超えて長生きすれば得になります。
ただ、任意加入しても65歳からの年金を貰う前に死亡すると悲劇です。

4年任意加入した時点でA子さんが亡くなったとすると、保険料を払った
期間が計13年なので、夫に死亡一時金12万円が払われます。
A子さんが任意加入せずに64歳で亡くなった場合の保険料納付期間は
9年になり、このときの一時金も12万円です。
但し、この場合は、4年分の保険料約67万円は水の泡になって
しまいます。

何事も行動を起こす前に十分な調査が必要ということですね。