厚生労働省は、社会問題化している違法派遣や偽装請負を一掃する
ため、「緊急違法派遣一掃プラン」を本年4月からスタートさせました。
新たに制定した「日雇派遣指針」や「労働者派遣法施行規則の改正」等
をもとに、労働者派遣制度の周知と指導を強化していく方針です。
労働者派遣法施行規則の改正では、まず、派遣元が年1回労働局に
提出する事業報告書の様式に、「日雇派遣労働者の数」、「従事した業務
にかかる派遣料金」、「日雇派遣労働者の賃金」等を追加しました。
また、「派遣先責任者」については、労働者派遣が1日を超えない場合でも
選任を義務化し、「派遣先管理台帳」の作成も義務化しています。
その他にも、派遣先管理台帳の記載事項に、「派遣労働者が従事した事業所
の名称及び所在地その他派遣就業した場所」を追加し、また、派遣元事業主
への通知事項には、それらに加え「従事した業務の種類」も追加しました。
日雇派遣指針は、日々または30日以内の期間を定めて雇用される者
(30日以内の期間を定めた雇用契約を更新して通算30日を超えるような場合も
対象となる)を対象とした、派遣元事業主および派遣先が講ずべき措置を定めた
ものです。
今回、厚生労働省から発表された指針は10項目ほどです。
主なものとしては、まず「日雇派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置」
として、事前の就業条件の確認や雇用契約の期間の長期化、契約解除の際に
就業のあっせんや損害賠償等の適切な措置を図ること等が挙げられます。
また、「労働者派遣契約に定める就業条件の確保」では、派遣先の巡回や就業状況
の報告により、契約に定められた就業条件の確保が望まれています。
また、「労働・社会保険の適用の促進」「教育訓練機会の確保」「関係法令等の
関係者への周知」「安全衛生に係る措置」などの、いずれも「派遣労働者や日雇
労働者だから」という理由でおざなりにされがちだった分野についても、
今回の指針では着目されています。
「情報の公開」では、労働者派遣の実績、派遣料金の額、派遣労働者の賃金等の
事業運営の状況に関する情報の公開が求められ、これにより、派遣労働者側も、
各種情報を得ることにより
企業選択がしやすくなると思われます。
今回の改正の多くは、日雇派遣に関するものですが、厚生労働省はこれを機会に
期間制限業務や26業務の適正な運用等を含め、従来の違法派遣についても指導
と監督を強化する方針を打ち出しています。
違法請負と合わせて、企業の厳正な対応が益々求められてくるでしょう。