厚生年金の標準報酬月額(月収水準)の記録が大量に改ざんされていた
問題に関して、次々と事実が明らかになっています。
当初、「社会保険庁による改ざんへの関与の疑いが高い」と言われていましたが、
関係者(社会保険事務所職員や事業主など)の証言により、組織的な関与が
あったことはほぼ間違いないと見られています。
記録の改ざんは、経営状態の悪い事業主にとっては保険料負担が軽くなる
(またはなくなる)というメリットがあり、社会保険事務所の職員にとっては
保険料の徴収実績を上げることができるというメリットがあります。
方法としては、社会保険事務所職員が標準報酬月額の引下げを事業所に
指導したり(または事業所に無断で標準報酬月額を引き下げたり)、
保険料を滞納している事業所に「全喪届」の届出を勧めたりといったものです。
ひどいケースでは標準報酬月額が5等級以上も引き下げられていたようであり、
これらの改ざんにより、年金額が本来より減額されて支給されているケースが
すでに出てきているようです。
舛添厚生労働大臣は、9月中旬に「改ざんされた可能性の高い記録が
6万9,000件あると」表明していました。
その後、10月初旬に、これまで社会保険庁が説明していたよりもはるかに
大きな規模による改ざんが行われていた事実が明らかになっています。
改ざん事例の総数は100万件を超えるのではというマスコミ報道も
なされていますが、実際の改ざん件数が何件あるのかは、依然として
不明のままです。
同大臣は、厚生年金の記録改ざんに関する直属の調査チームを設置する方針です。
調査チームは弁護士などの外部有識者などで構成され、関与が確認された
社会保険庁職員やその管理職には「厳正な処分を行う」と明言しています。
また、社会保険庁の職員や事業主などからの情報提供を求める方針も示し、
年金受給者への個別訪問なども行っていくとしています。
全容解明はまだまだ先のことになりそうですが、心当たりがある場合
(勤務していた事業所の経営状態が悪かった場合や倒産があった場合)には、
まずは自分の年金記録を確認してみる必要があります。
確認の方法としては、社会保険事務所で「被保険者記録照会回答票(資格画面)」
を出してもらうか、インターネットの年金記録照会(社保庁ホームページにある
「年金個人情報提供サービス」)を利用するかのどちらかが一般的です。