本年2月におけるアルバイトの全国平均の時給は989円
(前年同月比2.1%増)で3カ月連続で前年同月比が増加しました。
不況の影響で正社員の給料が下がりつつある中、
なぜアルバイトの時給は上がっているのでしょうか?
一般的に、景気回復の局面においては、「正社員の賃金よりも先に
パートやアルバイトの時給が上がる傾向がある」と言われています。
景気回復の初期には、企業は景気の先行きに自信が持てないため、
正社員の賃金を上げたり採用を増やしたりするまでには至らず、
まずは時給を上げてパート・アルバイトの採用を増やそうとする
ためだそうです。
アルバイトの時給アップの1つの要因に、「労働者派遣法の改正」が
挙げられています。
「登録型派遣」や「製造業務派遣」を原則として禁止する改正法が
今国会で成立する可能性が高くなった事を受け、派遣社員を
活用していた多くの企業で、改正を前に、派遣社員ではなく
アルバイトなどの採用を優先する動きが出ているようです。しかし、
派遣社員経験者はアルバイトよりも正社員を希望する人が多く、
安定した仕事を求めている人をアルバイトとして雇おうとすると、
時給を上げる必要があり、その結果、時給を押し上げる要因と
なっているようです。
最近では、就職難の中、アルバイトよりも就職活動を優先する
学生が増え、時給を上げないとアルバイトを集めにくくなっている
状況もあります。
例えば、「コンビニエンスストア」は、アルバイトの採用においては
「飲食店」と競合しますが、時給は「居酒屋」などに比べて見劣り
する事が多いため、時給を上げる必要に迫られているとの見方も
あります。また、アルバイト経験を就職活動に活かそうと考える学生が
増えているため、学生が就職に役立つと考える「オフィスワーク」や
「営業職」に人気が集まり、「家庭教師」や「引越し」などの分野を
敬遠する傾向にあるようです。学生の就職活動はますます厳しさを
増しているため、企業にとっては学生アルバイトの確保が難しい状況は
当面続きそうです。