「労働審判」申立が過去最高

先般、最高裁判所が2009年における労働審判の申立件数を公表し、 その件数は3,468件で過去最高となったことがわかりました。 労働審判制度は2006年4月にスタートしましたが、4年で約4倍の 伸びとなっています。 内容別の内訳では、「解雇等の地位確認」に関する申立てが1,701件、 「賃金・手当」に関する申立てが1,059件、 「退職金」に関する申立てが205件 などとなっています。 申立ての多くは労働者や退職者からのものですが、その背景には、 不況下における雇用調整の実施、賃金の引下げなどに伴う労使トラブルの 増加が挙げられます。 上場企業のうち、2008年秋以降に何らかの「雇用調整」を実施した企業は 何と76.7%にのぼるという調査結果も出ています (労働政策研究・研修機構の発表)。 雇用調整の具体的内容については、「新規採用の抑制」(53.2%)、 「契約社員・パート労働者の雇止め」(52.0%)、「不採算部門の縮小、 事務所の閉鎖」(45.6%)となっています。 労働審判制度は、使用者と個々の労働者間の権利義務に関する紛争 (個別労働関係紛争)について調停または審判を行う手続きで、 裁判官1名と審判員2名からなる労働審判委員会が、3回以内の期日で 審理を行います。 労使双方が合意すれば「裁判上の和解」と同様の効力が生じ、異議申立て がなされれば民事訴訟の手続きへと移行します。そして、「民事訴訟」や 「あっせん」と比較した場合、労働審判には労働者にとって時間的・費用的な メリットが多いと言えます。 労使トラブルの増加傾向が続けば、今後も労働審判の申立件数は増えて いくものと思われます。 企業側としては、トラブルが発生しないように、また、トラブルが労働審判に 持ち込まれないように、常日頃からしっかりとした労務管理を行っておくこと が必要なのは言うまでもないことです。