運用次第で将来の受給額が変わる「確定拠出年金制度」(日本版401k)
が導入されて約10年が経ちましたが、導入企業の従業員の内、
希望者だけが確定拠出型を選択することのできる「選択制」が
広がってきているようです。
年金には、全国民共通の基礎年金(1階部分)と会社員の厚生年金
など(2階部分)に加え、個人や企業が任意に上乗せを行う部分
(3階部分)があります。
そして、3階部分の運用方法には大きく分けて「確定給付型」と
「確定拠出型」とがあり、前者は将来の給付額が確定しているもので、
後者は掛金が確定しているものです。
確定拠出年金制度は、毎月、掛金を積み立てて、その資金を運用
しながら老後の備えをする制度であり、会社が掛金を負担する
「企業型」と個人が掛金を負担する「個人型」とがあります。
確定拠出年金は、本来、企業が掛金を拠出し、それを従業員本人が
運用しますが、資金に余裕のない企業にとっては導入が難しいものです。
そこで、掛金を上積みするのではなく、給与から確定拠出年金に拠出
する金額を減額し、運用を希望する従業員は拠出金額を掛金として
運用し、希望しない従業員は従来通りの給与を受け取るという方式が
増えています。
「給与が減っては意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、
受け取る給与額は掛金を含めると従来通りの金額となり、給与が減ると
その分の税金や社会保険料の負担も減ります。また、掛金は全額、
所得控除の対象となるため、節税効果も生まれます。しかしながら、
デメリットもあります。給与を減額して掛金に移す方式では、給与額で
決定される厚生年金保険料の等級が下がる可能性があり、将来の
年金受取額が減るおそれがあります。
総合的には利点が大きいケースがほとんどですが、給与水準や年齢など
によって変わることもあるため、個別に確認することが必要です。
(2011年2月)