厚生労働省は、政府の「社会保障と税の一体改革」の具体化に
向けた作業を進めています。
非正社員を厚生年金に加入させるために、労働時間や収入の条件
を見直す方針です。
「第3号被保険者」(夫が会社員や公務員である専業主婦)と
認定する年収の基準も、現行(130万円)から引き下げる考えです。
厚生年金保険料の算定に使う標準報酬の下限(月額9万8,000円)を
下げることも検討しているようです。
現在、労働者の4割をも非正社員が占めるようになり、年金制度に
歪みが生じています。
非正社員が加入する国民年金の加入対象者としては、主に定年が
ない自営業者などが想定されており、厚生年金に比べて手取りが
少額です。
他方、厚生年金の適用拡大は、当然に企業の負担増加を伴います。
厚生労働省が2007年に実施した試算結果によれば、加入条件
(労働時間)を「週30時間以上」から「週20時間以上」に拡大する
と新たに約310万人が厚生年金の加入対象となり、企業の負担が
年間約3,400億円も増えるそうです。
また、厚生労働省が過去に実施した短時間労働者を対象とする
アンケート調査によれば、年収130万円を超えると保険料の支払義務
が発生するために「労働時間を減らしている」と回答した人が
25%にも上ったそうです。
現行の年金制度が働き方を制限しているとも言えますが、差し引きで
負担増となる主婦層などからも反発が出ることが予想されています。
(11年12月27日)