確定拠出年金の加入者のうち、元本割れとなっている人の割合が約6割
(2011年9月末時点)に上ることが明らかになりました。
半年前の約4割から急増しており、半期ベースでは2年半ぶりの高水準
となっています。
確定拠出年金は、毎月一定金額を個人ごとの口座に積み立て、
その元本と運用益が老後の年金原資となる制度であり、「企業型」と
「個人型」とがあります。
企業型の場合は、企業が毎月決まった拠出額を従業員の口座に振り込み、
従業員自らがその運用方法を決定します。なお、2012年1月からは
「マッチング拠出」の導入により、従業員による拠出も可能と
なっています。
個人型の場合は、自営業者や勤務先に企業年金制度がない会社員が
個人で加入して掛金を拠出し、運用を行います。
元本割れに陥る人が急増している背景には、世界的な株安の問題が
あります。
格付投資情報センター(R&I)が、確定拠出年金の運営管理を
手掛ける金融機関3社の協力を得て、加入期間半年以上の加入者
(3社合計で約140万人。国内の加入者数全体の3割強)の運用実態を
調べたところ、通算利回り(年率換算)がマイナスとなり元本割れの人は
全体の57.8%となりました。
確定拠出年金は、確定給付年金とは異なり、企業が不足分の補填を
行わないため、運用低迷が加入者の将来の受給額減少に直結します。
確定拠出年金を導入している企業では、平均で運用利回り2.2%を
予定して年金制度を構築していますが、
実績はマイナス1.9%(昨年9月末時点)にとどまっています。
とは言っても、税制優遇などの点でメリットが大きいこともあり、
確定拠出年金に代わる有効な手段がないのも現実です。
今後についても運用低迷が予想されるため、新興国株を運用商品
に追加したり、年金運用研修を強化したりするなどの対策が
必要だと言われています。
(12年1月26日)