派遣労働者の保護を目的とする「改正労働者派遣法」が
本年3月28日に成立しました。
施行期日は「公布の日から6カ月以内」とされています。
法律の正式名称も「労働者派遣事業の適正な運営の確保
及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の
保護等に関する法律」と労働者保護に重点を置いた名前に
変更されました。
改正法の主な内容は次の通りです。
<1>事業規制の強化
①日雇派遣(日々または30日以内の期間を定めて雇用する
労働者派遣)の原則禁止(適正な雇用管理に支障を及ぼす
恐れがないと認められる業務の場合、雇用機会の確保が
特に困難な場合等は例外)。
②グループ企業内派遣の8割規制、離職した労働者を
離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止。
<2>派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善
①派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、
無期雇用への転換推進措置を努力義務化。
②派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に
従事する派遣先の労働者との均衡を考慮。
③派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に
占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化。
④雇入れ等の際に、派遣労働者に対して、1人当たりの
派遣料金の額を明示。
⑤労働者派遣契約の解除に際して、派遣元および派遣先に
おける派遣労働者の新たな就 業機会の確保、休業手当等
の支払いに要する費用負担等の措置を義務化。
<3>違法派遣に対する迅速・適格な対処
①違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら
派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者
に対して労働契約を申し込んだものとみなす
(但し、施行日は法施行日の3年後)。
②処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格事由
を整備。
本法の目玉だった製造業派遣の禁止、登録型派遣の禁止は、
自公両党の反対で削除されましたが、実務上影響が大きい
「みなし雇用制度」は3年後の施行となりました。
(12年4月25日)