企業内におけるパート労働者の役割は年々重要度を増しており、
正社員並みの中核業務を任せる企業も多くなっています。
正社員並みの中核業務を担当させるような企業においては、
仕事が同じ正社員とパート労働者の賃金水準を同等にしたり、
就業環境の整備を行ったりの対応を迫られる場合も
少なくありません。
このような状況下において、国は、被用者でありながら
被用者保険の恩恵を受けられないパート労働者などの
非正規労働者に社会保険を適用し、
セーフティネットを強化することで、社会保険における
格差を是正したいと考えました。
そこで、政府は、パート労働者への社会保険の適用拡大を
検討しています。
2016年4月から、「週勤務時間20時間以上」「年収94万円
(月収7万8,000円)以上」「勤務期間1年以上」で
「従業員501人以上の企業で勤務」のパート労働者を社会保険
適用の対象にするとし、さらにその後3年以内に、更に社会保険
適用の対象範囲拡大を行うというものです。
加入が進めばパートの将来への安心感は増しますが、企業の
負担は大きくなるため(企業負担増は約800億円と推計)、
反発の声があがっています。
今回の適用拡大をめぐり、厚生労働省では、高齢者医療費の
拠出金などについて負担を軽減する特例措置の導入も検討
しています。
即ち、パート労働者が多い業界(外食、流通業など)を対象に、
負担増の部分について健康保険組合の加入者に肩代わりさせよう
というものです。
これは、最終的な負担者を健康保険組合の加入者と企業に
押し付けるというもので、今後反撥を呼びそうです。
企業にとっては、「取れるところから取ろう」とする姿勢が
顕著になって来た政府の今後の動きから目が離せません。
(12年4月25日)