社員の起こした交通事故

交通事故というものは、どんなに注意しても起こってしまうものです。
社員が加害者となって起こした交通事故に対して会社には責任が
あります。
反対に、社員が被害者となった場合における労災保険適用のメリット
もあわせて知っておく必要があるでしょう。 
(1)(加害者として)社員が起こした交通事故の会社責任
会社には、社員が交通事故を起こした場合、それが業務中の事故
であれば損害賠償責任があります。
会社所有の自動車で業務中の事故については、民法の使用者責任
および自動車損害賠償保障法の運行供用者責任があるからです。
社員所有の自動車による通勤途中の事故については、会社が
マイ・カーの業務使用を一切禁止している場合は、原則として
会社は運行供用者責任を負わないと考えられています。
然し、会社がマイ・カーの業務使用を命じ、または認めている
場合は、実質的に会社保有車とは何ら異ならず、会社は運行供用者
責任を負うことになると考えられます。
使用者責任については、自動車の運転が外形上、会社の事業の執行に
属すると認められるかによって判断されます。
以上のようなリスクを回避するためには、社員の任意保険加入の
義務付けと運転免許証の確認、通勤経路の把握をしておくことなど
が必要です。

(2)(被害者として)労災保険適用
交通事故において相手側の任意保険から支払われる場合は、社員の
過失割合分だけ減額されますが、労災保険が使える業務上等の事故
の場合は、社員の過失割合が高くても原則治療費は全額、労災保険が
面倒をみてくれます。
また、休業補償については、労災保険から給料の60%と特別支給金
として給料の20%、合わせて賃金の80%が補償されます。相手(保険)
から100%の補償を受けている場合、労災保険へは基本的に相手から
賠償された分の請求はできないのですが、特別支給金については
請求することができます。
つまり、100%の補償と特別支給金としての20%、合わせて給料の120%
の補償を受けることができるのです。
また、示談をする場合は必ず労働基準監督署に連絡の上、十分に考えて
行ってください。
安易に相手(保険会社)と示談をしてしまうのには、リスクを伴うこと
を忘れないことが肝要です。
(2012年5月28日)