精神障害者の雇用義務化

障害者雇用は現在の雇用政策の中で重要な論点の一つとなっており、
4月以降は法定雇用率の引き上げ(1.8%→20.%)も実施されます。
そんな中、厚生労働省においては労働政策審議会障害者雇用分科会で
障害者雇用制度の更なる見直しの議論がなされていますが、
先般、障害者雇用促進法で精神障害者の雇用義務化の必要
(現在は、身体障害者と知的障害者が義務化。
なお、精神・知的障害の違いは、次の通り。
「知的障害の正式名称は精神遅滞で、1999年以前は、精神薄弱と
呼ばれていた。精神遅滞(知的障害)は発達段階で生じ、特徴は
認知・言語・運動・社会的能力などの障害。精神障害は疾病
なので治癒する可能性があるのに対し、知的障害の完治は困難、
且つ精神遅滞(知的障害)をもった人は必ず精神障害も生じるのに対し、
精神障害をもっている人が必ず精神遅滞(知的障害)という訳ではない。
精神障害とは、現在では統合失調症・そう病・うつ病・薬物中毒・
人格障害などとされている」)
があるとする意見書を纏めました。
次にそのポイントについて見てみます。
①ハローワークで求職活動を行う精神障害者数が増加する中で、
企業において雇用されている精神障害者数も増加しており、
雇用環境の更なる整備を図りつつ、精神障害者を雇用義務の対象と
することが求められている。
②一方、精神障害者を雇用する上での企業に対する支援策は十分
とはいえない状況にあることから、企業が精神障害者の雇用に着実
に取り組むために、企業に対する支援の更なる充実が求められている。
③これらを踏まえると、精神障害者を雇用義務の対象とすることに
ついては、企業が精神障害者の雇用に着実に取り組むことができるよう、
十分な準備期間を設けることを前提とした上で、企業に対する大幅な
支援策の充実を進めつつ、実施することが必要である。
④精神障害の特性やプライバシーへの配慮、公正、一律性、事業主の
予見可能性の担保等の観点から、精神障害者保健福祉手帳で判断する
ことが適当である。
その際、本人の意に反し、手帳の取得が強要されないようにすべき
である。

厚生労働省では労働政策審議会の諮問・答申を経た上で改正法案を
作成し、2018年4月の施行を目指すとしています。
予想よりも施行まで時間的な余裕がありますが、更なる法定雇用率
の引き上げは不可避であり、企業として一層、障害者雇用を進める
準備が必要となってくるでしょう。

(2013年3月27日)