介護休業制度の見直し

これまで“ワークライフバランス”というと、
「育児休業を取る人のための…」、
「私生活を重視したい人のための…」といった
イメージで捉えられていたようですが、最近は「介護」についての
重要性が益々強くなってきているようです。
たしかに、育児・介護休業法が改正された当時(平成21年改正、
平成22年施行。平成24年7月から常時100人以下の労働者を雇用する
中小企業についても完全施行)、子を持つ社員の休業や子の看護休暇
については注目され、企業は規程の変更等に追われました。

しかし、近年、少子高齢化社会の著しい進展に伴い、親の介護のため
に休職を余儀なくされる方が増えてきています。
そして、団塊世代の高齢化により、2017年には介護を必要とする
高齢者数が過去最高になると予測されています。
企業としては、育児と介護に大きな違いがあることを、制度を
再検討していく場合等に、考えておかなければならない課題の
1つになります。

大きな違い、それは「介護については終わりが定かでない」と
いう点にあります。子育てについては一定年齢での目処がつきますが、
介護については、始まりも終わりもそれぞれの状況により千差万別です。
製薬大手のアステラス製薬が、ガンなどで余命6カ月以内の宣告を
受けた家族を持つ社員に、最長で1年間の休職を認める制度を導入
したそうです。  
休職期間は、1週間~6カ月間で、最大で1年間まで延長できる
そうです。
こうした取組みが今後、他の企業でも注目されるようになるかも
しれません。

こうした介護休業を必要とする社員の増加が見込まれる中、
これまでの休業に関する規定を見直すとともに、業務の進め方や
人事制度そのものも見直す必要が出てくるでしょう。
さらに現在、政府で検討している「限定正社員」などの勤務形態
の多様化への対応とも併せ、企業は具体的な検討を始める時期に
来ているのかもしれません。

(2013年7月1日)