厚生労働省が、平成24年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償
状況」を発表しました。
これは、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による
強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について
まとめたものです。
くも膜下出血などの「脳血管疾患」や、心筋梗塞などの「心臓疾患」
は、過重な仕事が原因で発症する場合があり、これにより死亡した
場合は「過労死」とも呼ばれています。
今回注目すべきは、精神障害の労災申請自体は前年より若干少なく
なりました(1,257件)が、労災認定件数が475件(前年度比150件増)
となり、過去最多となったことです。
その内容を見ると、昨今、行政による是正指導でも多く指摘されて
いる事項が並んでいます。
業種別では、製造業や卸・小売業、運輸業、医療・福祉といった
業種が多くなっています。
次に、出来事別に支給決定件数をみると、
(1)仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった、
(2)(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた、
(3)悲惨な事故や災害の体験、目撃をした、
の順に多くなっています。
また、増加件数としては、
(1)1カ月に80時間以上の時間外労働を行った(前年度比29件増)、
(2)(重度の)病気やケガをした(同27件増)、
(3)上司とのトラブルがあった(同19件増)、
(4)セクシュアルハラスメントを受けた(同18件増)、
(5)(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた(同15件増)
の順に多くなっています。
「1カ月に80時間以上の時間外労働を行った」という部分については、
脳・心臓疾患の時間外労働時間数(1カ月平均)別支給決定件数を
みても、飛躍的に発症件数が増えてくるところですので、
会社の労働時間の管理が非常に重要であることがわかります。
時間外労働が多いと睡眠不足など体調の管理も難しくなり、こうした
労災の発生につながってくることも考えられます。
暑い時期になり、熱中症が例年になく多く発生しているようです。
今年は体調の管理と併せて、労働時間の管理についても見直して
みてはいかがでしょうか。
(2013年8月2日)