「健康管理」への監督強化

東京労働局から、平成24年度に実施された、過労死・
過労自殺など過重労働による健康障害を発生させ
労災申請が行われた事業場に対する監督指導結果の
概要が公表されました。
対象となった93事業場の業種は、「交通運輸業」が最も多く、
次いで「ソフトウェア・情報処理業」、「建設業」、「卸・小売業」
の順で多くなっています。
また、企業規模としては、「10~49 人」が最も多く、
次いで「100~299 人」、「10 人未満」、「300~999 人」の順
となっています。
今回の結果から、過労死等を発生させた事業場では
「労働関係法令違反」の割合が 90%と高く、被災労働者に
対する健康管理体制の不備のある事業場も高い割合
であることがわかりました。
違反の状況としては、不適切な労働時間管理(労働時間
の違反、未払残業など)によるものが多くなっており、
特に「三六協定」の取扱いが厳しく監督指導されている
ようです。
また、違反のあった事業場のうち半数以上で、1カ月の
時間外労働が100 時間を超えるか、2カ月~6カ月の
時間外労働が平均して月80時間を超えると認められた
とのことです。
近年では、過重労働による健康障害を防止するためとして、
衛生管理体制の不備についても重点的に指導が行われて
います。
内容は、健康診断の受診、有所見者への対応(医師等からの
意見聴取、勤務軽減措置、保健指導)や、時間外・休日労働が
多い労働者に対する医師による面接指導です。
これらの中には努力義務のものもありますが、適切に
取り組んでいない場合、いざ過労死や精神疾患の発症等が
起きた際には、訴訟等において企業は不利な立場に
置かれることになります。
その他、社員が過重労働により亡くなってしまったり精神
疾患等で業務に就けなくなったりすれば、その影響は社員
の家族や他の社員に多大な負担を強いることになり、
ひいては企業の社会的評価が低下するなど、経営自体
にも相当のマイナスとなります。
また、いわゆる「ブラック企業」に対する集中的な指導監督も
進められていますので、今後も行政による指導監督は
強化されていくことと思われます。
この機会に、健康的に働くことができ、会社経営にもプラス
となる「労働時間管理」の強化策について検討してみては
いかがでしょうか。

(2013年9月27日)