高齢化社会の進展とともに、「成年後見」の需要が高まっている
ようです。
「成年後見制度」とは、認知症や知的障害、精神障害などで
判断能力が不十分な人(本人)について、その行為能力を制限
するとともに、本人の能力を後見的立場から補完することによって
その権利を守るためのものです。
「成年後見人」の選任対象は、親族や弁護士、司法書士、
社会保険労務士などで、仕事は法律行為に関するものに限られ、
本人に代わって財産を管理したり必要な契約を結んだりします。
需要が高まっている一方で、成年後見制度の利用が増えるに
伴い、後見人による不正も問題となっています。
最高裁判所の報告によると、成年後見人の起こした不正は、
2010年6月から2012年12月末までに1,058件、被害金額は
94億円超にも上っています。
うち、親族後見人による不正が1,032件を占めています。
こうした背景を踏まえ、また、適切な財産管理を行うという
観点から、後見人として、親族ではなく弁護士や司法書士、
社会保険労務士などの専門職を選任するケースが増えて
います。
専門職の選任割合は、2012年に51.5%となり、2000年の
後見制度開始以来、初めて半数を超えました。
ただし、専門職であっても、知見等に濃淡があるのは事実
です。
今後は、裁判所等が後見人の業務を適切に監督する体制
づくり等も求められると考えられます。