経済産業省が「中小企業の雇用状況に関する調査」、
「地域の中核を担う中堅・中小企業等における賃上げ等
の取組みに関する調査」の結果を発表しました。
概要は以下の通りです。
①平成26年度にベースアップや賞与・一時金の増額等、
何らかの賃上げ(正社員1人当たり平均賃金の引上げ)
を行った企業の割合は64.5%(前年度比7.7ポイント増)
でした。
内、ベースアップに相当する賃上げを行った企業の
割合は36.2%で、賞与・一時金の増額を行った企業の
割合は48.0%でした。
②賃上げを行った理由としては、「従業員の定着・確保」
と回答した企業が最も多く75.7%、「業績回復の還元」が
28.9%、「消費税率の引上げ」が21.3%で続いています。
③ちなみに、賃上げを行わなかった企業にその理由を
聞いてみると、「業績の低迷」が71.7%で最も多く、
次いで「賃金より従業員の雇用維持を優先」が33.1%、
「原油・原材料価格の高騰」が33.0%となりました。
上記の結果から、中小企業では、人手不足により
賃上げせざるを得ない状況や、業績の低迷が賃上げを
妨げていること、雇用維持への努力やコストアップの
影響が見てとれます。
また、地域別で見ると、賃上げを行った企業は、昨年度に
比べ全国的に増加し、地域間の格差も少なくなっており、
地方へ「経済の好循環」が着実に波及しつつある状況も
見られたようです。
同調査では、企業収益の改善を、ベースアップや
初任給の引上げ等の賃金改善によって従業員に
還元している事例はもとより、非正規社員の正規社員
への転換や、子育て支援等の福利厚生の充実等、
全国各地で各社が工夫して従業員の処遇改善に
取り組んでいる事例も紹介されています。
非正規社員の処遇改善への取組例としては、
(イ)賃金改善(①パート社員を今以上に戦力化
するため時給を約10%引上げ、②優秀な人材の確保
を目的にパート社員について3~10%程度賃上げ、
③他社の賃金動向を勘案し正社員を上回る1,500円
のベースアップ等の実施例)や、
(ロ)正規雇用への転換(会社側から積極的に働き
かけて非正規社員を正規雇用へ転換)が挙げられて
います。
上記以外の処遇改善の取組み例としては、
働きやすい職場づくり(介護が必要な家族がいる社員
のために介護休業や介護休暇を法定の期間より大幅
に拡充、女性を積極的に登用するため短時間勤務制度
を導入、出産祝い金を2万円から10万円に増額)や、
社員への慰労(売上好調等による労をねぎらうため、
4泊6日のハワイ旅行を実施)が挙げられています。
人手不足対策として、中小企業も厳しい経営環境の中、
処遇改善を迫られているようです。
(2014年9月26日)