総務省の「就業構造基本調査」によると、家族の介護
を理由に会社を辞めたり、転職したりする人は
年間10万人にも達しています。
今後、高齢化の進展によりますます要介護者数が
増加する中、社内で中核的な役割を担う、いわゆる
「働き盛り」の社員が次々と退職する事態も想定されます。
介護をしながらでも長く働き続けることができる職場環境
を整備し、離職を防ぐことが、企業にとってはこれからの
重要な課題となります。
企業がとるべき、実効性ある対策は何なのかを考える
うえで、独立行政法人労働政策研究・研修機構
「仕事と介護の両立に関する調査結果」が参考になります。
同調査では、(1)介護開始時の勤務先に介護休業制度
がある場合は、離転職割合が低くなること、(2)法定を
超える介護休業としては、分割取得ができる場合に
離転職割合が低くなること、(3)介護休業制度に加えて、
残業や休日労働を免除する所定外労働免除の制度が
ある場合は離転職割合が低くなること等がわかりました。
特に、介護休業制度を利用した従業員の離職率は4.8%、
転職率は11.9%と、利用しなかった従業員より10ポイント
以上低いという数字が出ており、介護離職を防ぐうえでは
「会社に介護休業制度があること」の重要性が高いと
言えます。
自宅等で介護をしていることが職場で顕在化して
いなかったり、取りづらさに困難を感じて取得しない人が
多かったりするなど、「介護休業制度を作っても意味が
ないのでは?」などと感じる向きもまだまだ多く、
中小企業の中には、就業規則に介護休業の制度が
明文化されていないところも少なくありません。
「休業できることを知らない」という社員も多くいます。
人材不足が問題となっている中、貴重な人材の
確保という観点からも、介護休業制度の規定・周知を
行うことが、まず行うべき介護離職対策の1つと
言えそうです。
(2015年3月26日)