改正障害者雇用法の概要

 厚生労働省が11月下旬に「平成27年障害者
雇用状況の集計結果」を発表し、今年6月時点
において民間企業で働く障害者数が45万3,134人
(前年比5.1%増)となり、12年連続で過去最多を
更新したことがわかりました。
なお、障害者雇用促進法では、民間の事業主に
対しての法定雇用率を2%と定めていますが、
今回の集計結果では1.88%となっており、
法定雇用率を下回る結果となっています。
障害者雇用促進法は、昭和35年の制定以来、
改正を重ねてきており、直近の改正も段階的に
施行されています。
平成25年6月には障害者の範囲が「身体障害、
知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他
心身の機能の障害があるために長期にわたって
職業生活に相当の制限を受け、または職業生活
を営むことが著しく困難な者」と明確化されました。
平成28年4月1日からは、雇用分野における
差別禁止、合理的配慮の提供が義務となります。
なお、平成30年4月1日からは法定雇用率の算定
基礎の対象に、新たに精神障害者が追加される
こととなります。
来年4月1日からは①障害者に対する差別の禁止、
②合理的配慮の提供義務、③苦情処理や相談
体制の整備が義務となります。
具体的には、①については、募集や採用、待遇
などで、単に「障害者」という理由で応募を認め
ないことや、昇進昇格を認めないといったこと
などが禁止されます。
②については、障害者が職場で働くことができる
ように、支障となることを改善する(例えば肢体に
不自由がある方に対して机の高さを調節する等)
といった配慮を義務付ける(事業主が過重な負担
にならない範囲)ものです。
③については、事業主が障害者から苦情や相談
を受けた場合に適切に対応するために、相談窓口
を設置する等の整備が求められるというものです
(努力義務)。
厚生労働省は、障害者雇用が増加していること
について「障害を持つ人の就業意欲の高まりや
就労支援対策の充実などがかみ合った」と分析
しています。
企業でも職場全体として周知させていくことが、
よりよい職場環境をつくるきっかけとなるのかも
しれません。

(2015年12月30日)