政府は、今国会に提出する男女雇用機会均等法と
育児・介護休業法の改正案の中に、女性らが妊娠や
出産を理由に不利益を被るマタニティーハラスメント
(マタハラ)の防止策の企業への義務付けを盛り込む
方針を明らかにしました。
2017年4月からの実施を目指すとしています。
具体的には、マタハラ行為を禁止する規定を就業規則
に盛り込むことや相談窓口の設置、社員研修の実施
などを企業に求めることとします。
派遣社員も防止策の対象とし、違反した企業名について
公表する方針です。
現行の男女雇用機会均等法でも、事業主に対して、
妊娠や出産を理由にした解雇や降格は禁止していますが、
職場の上司や同僚が「長く育休を取得されると迷惑」
「辞めたらどうか」などと発言するのは、事業主が発言を
指示した場合などを除けば、均等法上は違法とは
なっていません。
マタハラをめぐっては、2014年10月に、妊娠による降格
が男女雇用機会均等法に違反するという最高裁判決が
出ています。
また、昨年9~10月に厚生労働省が実施した調査では、
妊娠や出産、育児をした女性のうちマタハラを受けた人
の割合は、派遣社員48.7%。正社員21.8%、
契約社員13.3%、パート5.8%となっています。
また、経験したマタハラで最も多かったのが「『迷惑』
『辞めたら?』など権利を主張しづらくする発言」でした。
政府は、現行法のままでは、上司や同僚の言動で休み
を取りづらい雰囲気が作り出されている実態には
対応しきれないと判断し、昨年11月に発表した
“一億総活躍社会”実現への緊急対策で「妊娠、
出産などを理由とする不利益取扱いを防止するため
法制度を含め対応を検討する」と盛り込んでいました。
マタハラ対策の強化は、安倍政権が掲げる
“一億総活躍社会”実現に向けた政策の一環です。
働く女性が妊娠・出産をしやすい労働環境をつくり、
出生率1.8の実現につなげたい考えです。
どのような言動がマタハラにあたるかは厚生労働省令
で詳細を定めるようですが、上司や同僚による
嫌がらせ発言などが対象となる見込みです。
(2016年2月26日)