厚生労働省が「勤務間インターバル制度(=社員が職場を
退社し、翌日出社するまでに一定の時間を空ける制度)」
を導入した企業に最大100万円の助成金の支給を検討して
いる」との報道がありました。
今月にもまとまる「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り
込まれるとのことです。
この「勤務間インターバル制度」は、現在EU諸国で導入
されているもので、勤務終了後から次の勤務開始までに
一定の休息時間を設ける制度です。
①24時間につき最低連続11時間の休息を付与すること、
②7日ごとに最低連続24時間の休息日を付与すること、
③週の平均労働時間が時間外労働を含めて48時間を
超えないこと。
というのが主な内容です。
日本でも一部の大企業ではすでに導入されています。
厚生労働省では、長時間労働抑制のためにこの制度の
普及を図りたいことから、助成金支給を検討することに
なりました。
助成金の受給には、制度を導入して就業規則に明記し、
目標の数値を盛り込む事が必要になるようです。
要件等の詳細はこれから発表予定ですので、関心の
ある方はご注意下さい。
ただ、実際の運用面を見ると、例えば8時間労働で
週5日勤務(通勤に片道1時間、休憩は1時間)の場合に、
12時間のインターバルを設けたとすると、午後9時に
退社し翌日9時出社という生活になります。
また、通勤時間を除くと実質的には10時間の休息
となります。
さらに残業時間で見ると、1日4時間、月80時間の残業
となり、これは過労死ラインぎりぎりの数値で、最低限度
のものと考えられます。
こうした課題があることから、勤務間インターバルの
その先を見据えた研究がなされています。
独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生
総合研究所の発表によると、課題として、
①日勤後や夜勤後といった働く時間帯による
インターバルの効果、
②特に心理的ストレスの高い勤務についての
インターバルの長さの設定、
③インターバルの中身(休息の過ごし方)など
があるようです。
また、制度の普及している国でも、勤務時間外
における仕事に関するメールのやりとりや自宅
での仕事等により、勤務時間外でも仕事に拘束
される事例があり、労働者の健康問題にも
つながっているという問題もあるようですので、
制度の実際の運用面では考えておくべきことが
多いと思われます。
(2016年6月4日)