新聞報道等ですでにご存じの方も多いと思いますが、
5月13日に東京地裁から「定年後再雇用と処遇(賃金)」
についてこれまでの“常識”を覆す判決が出ました。
判決の趣旨は「定年後に嘱託社員として再雇用された
3人の労働者(トラックドライバー)の職務内容が定年前と
変わらないにもかかわらず、会社(運送会社)が賃金を
約3割引き下げたことは違法(労働契約法20条違反)
である」というもので、会社には賃金の差額の支払い
などが命じられました。
上記のような賃金格差について労働契約法20条
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の
禁止)の違反を認めた判決は過去に例がなく、
労働者側の弁護士は「通常の労働者と定年後
再雇用された労働者との不合理な格差是正に
大きな影響を与える画期的な判決である」と
評価しています。
また、原告の1人は「同じような立場の人にこの
判決が力となれば」と話しているそうです。
判決後、会社側はすぐに控訴したため、裁判
における最終的な結論がどのようになるかは
]現時点ではわかりませんが、仮にこの判決
(=労働者側の勝訴)が高裁・最高裁で維持
された場合、定年後再雇用者の賃金引下げは
認められなくなるケースが出てくる可能性があり、
企業実務への影響は非常に大きなものとなります。
今後の裁判で裁判官がどのような判断を下すのか
について、注視しておく必要があるでしょう。
(2016年6月27日)