現在、社会保険に加入する必要がある労働者の範囲は、
正社員のほか、所定労働時間・日数が正社員の
概ね4分の3以上の短時間労働者となっています。
この4分の3要件を判断する際、派遣労働者は、
派遣先の事業所かまたは派遣元の事業所か、どちらの
所定労働時間で判断するのか、迷うことがあります。
これに関し、先般、日本年金機構から疑義照会が
示されました。
例えば、所定労働時間が5時間30分の短時間労働者が
以下の条件で働く場合に、加入要件の判断が分かれ、
迷うこととなります。
①派遣元の正社員所定労働時間:7時間
(4分の3時間=5時間15分)→5時間30分は社会保険の
加入要件を満たす。
②派遣先の正社員所定労働時間:8時間
(4分の3時間=6時間)→5時間30分は社会保険の
加入要件を満たさない。
このようなケースでは、あくまでも派遣労働者との
雇用契約が成立する「派遣元」の事業所を基準と
するとしています。つまり、
①で判断するため、この短時間労働者は社会保険
に加入することになります。
なお、ここでは話を分かりやすくするため、1日の
所定労働時間のみで判断していますが、実際には
1日の労働時間のみではなく、
①1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4
以上であること。
②1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上で
あること。
の何れをも満たすか否かで判断しなければ
なりません。
このように、派遣労働者の社会保険の適用は、
派遣元の事業所で加入することとなっており、
派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針でも、
「雇用する派遣労働者の就業の状況等を踏まえ、
労働・社会保険の適用手続を適切に進め、
労働・社会保険に加入する必要がある派遣労働者
については、加入させてから労働者派遣を行うこと」
とされていますので、注意が必要です。
(2016年8月27日)