①労使協定と過半数代表
労働組合の組織率は年々低下傾向にあるようですが、
働き方改革法の成立・施行に伴い、労使協定の重要性
が増す中、「過半数代表」については注意が必要です。
36協定等の労使協定を締結する場合は、その都度、
過半数組合か、過半数組合がない場合は過半数代表者
との書面による協定が必要ですが、この度、「過半数
労働組合および過半数代表者に関する調査」((独)
労働政策研究・研修機構)の結果が公表されました。
この調査に回答した7,299事業所のうち、労働組合の
ある事業所(全体の12.6%)の93.8%は、組合が1つ
でした。2つ以上と回答したのは6.1%です。
また、過半数組合があるのは65.5%となっています。
②「過半数代表」の選出状況
調査によると、過去3年間に、「過半数代表者を
選出したことがある」事業所は43.1%、「過半数
代表者を選出したことがない」事業所は36.0%、
「不明(選出したことがあるか分からない)」が
10.1%であったとのことで、中には問題がある
ケースもありそうです。
「過半数代表(事業場における過半数労働組合
または過半数代表者)」が「いる」のは全体の51.4%、
「いない」が36.0%。事業所規模別にみると、
「過半数代表」がいる割合は、「9人以下」35.7%、
「10~29人」69.5%、「30~99人」85.5%、
「100~299人」92.7%、「300~999人」94.3%などと、
やはり規模が小さいと割合が低くなっています。
③選出方法にも問題が…
過半数代表者を選出したことがある事業所における
選出方法についての回答は、「投票や挙手」が30.9%
となる一方、「信任」22.0%、「話し合い」17.9%、
「親睦会の代表者等、特定の者が自動的になる」6.2%、
「使用者(事業主や会社)が指名」21.4%などとなっており、
問題のある事業所があるようです。
過半数代表者は、労使協定の締結等を行う者を選出する
ことなど、その目的を明らかにして実施される投票、挙手等
の方法による手続きにより選出された者である必要が
あります。また、過半数代表者の職位について、
「課長クラス」、「部長クラス」、「工場長、支店長クラス」、
「非正社員」といった回答があり、こちらも問題があるようです。
過半数代表者は、監督または管理の地位にある者でない
必要があるからです。
適正な過半数代表者を選出していないことが労働基準
監督署の調査などで判明すると、締結した労使協定等
自体が無効なものとされてしまい、是正勧告や訴訟に
大きな影響があります。
今後、労働基準監督署によるチェックがさらに厳しくなる
ことは確実と思われますので、貴社でも再確認しておいては
如何でしょうか?
(2019年1月26日)